妊娠できたらNIPTを受けよう──そう決めていました。
NIPTとは、母体の血液から赤ちゃんの染色体の状態を調べる出生前診断のひとつです。
妊婦健診を受けた産院でそのことを伝えると、認可のある施設への紹介状を書いてもらい、妊娠12週の頃に受診しました。
当日病院に着くと、まずはエコー検査から始まりました。
先生はNT(赤ちゃんの首の後ろのむくみ)を何度も丁寧に測り、慎重に確認してくれます。
羊水の中で動く小さな命のNTを正確に測るのはとても難しいこと。
経験豊富な先生でも誤差が出ることがあるそうです。
他の異常もないかも細かく見てもらえて、それだけでも「ここに来てよかった」と思いました。
そして検査を受けるかどうか決める前に、1時間ほどの遺伝カウンセリングの時間がありました。
先生は遺伝子の分野にとても熱心な方で、専門的な内容をわかりやすく、そして誠実に説明してくれました。
真剣さの中にも温かさがあって、隣のカウンセラーさんと交わす、ツッコミの入り混じったやりとりに、少し笑みがこぼれるような、そんな和やかな時間でした。
「この検査を受けるかどうか」——ここに来て覚悟が出来ずに迷いと涙が入り混じる私にとって、その雰囲気はとても救いになりました。
先生は、私(母体)の年齢や、NT、そして鼻骨や心臓・血管の形態といったエコーの結果を踏まえて、この子が染色体疾患を持つ確率を示してくれました。
その上で、もしNIPTが陽性だった場合の羊水検査のリスク(流産の可能性)についても説明を受けました。
「今すぐに決めなくていいですよ。受けたいと思ったら、この時期までにご連絡ください」
そう言われ、たくさんの資料を受け取りました。ふと、カウンセリングを受けた他の方はどうすることが多いんですかと伺うと、即決する方もいれば、悩んで検査を受けないことにする方もいて様々ですと教えてくれました。
帰り道、カウンセラーさんとたわいもない話をしながら病院内を出る頃には、私の心の中ではもう答えが出ていたのだと思います。
——「受けない」という選択です。
もし受けてよくない結果が出たら。そしてそのせいで流産してしまったら。
そう考えただけで涙が出るほど、この子の存在は既に大きくて。
たとえ陽性だったとしても、私は諦めることができない気がしました。
それより確定検査となる羊水検査のリスクを考えると、怖さの方が勝ってしまって。
だから私は「受けない」という選択をしました。
もちろん、この決断に正解や不正解はないのでしょう。
それぞれの家族が、自分たちの心で選ぶこと——それが正解なのだと思います。
たった一つの経験談ですが、NIPTを受ける方のひとつの参考として、この記事がお役に立てると幸いです。

 
  
  
  
  

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